今回のチェックポイント
  • ●SaaS Plus a Boxとは何か?
  • ●ミレニアル世代に人気、米ペロトンとは?
ラインアップ(毎週火曜日掲載)
  • 01 「デザイン経営」とは何か
  • 02 なぜ今、「デザイン経営」が必要なのか
  • 03 「デザイン経営」は“恋愛”ではなく“結婚”
  • 04 世界の事例(1)~SaaS Plus a Box(米Peloton)
  • 05 世界の事例(2)~D2C(米Away)
  • 06 日本は世界で勝負できるか
  • 07 「デザイン思考」は効果あるのか
※今後の内容は変わることがあります
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丸尾弘志(日経BP総研デザイン・イノベーション センター長)前回は、「デザイン経営」にどのように取り組んだらよいのかについて考えました。今回は、デザイン経営に取り組む最先端の事例についてお聞きします。

田川欣哉(Takram代表取締役):最近よく紹介する事例が、北米で注目を集め始めている企業、ペロトン(Peloton)です。これはエアロバイクのプロダクトを作っている会社です。

 エアロバイクは日本でも使っている方が多いと思いますが、イノベーションが比較的長い時間起こっておらず、アマゾンなどでも2万円から4万円ぐらいで、ギリギリで売っているというような商品です。

 ペロトンは2012年にできた会社で、プロダクト自体がデザイン的にとても洗練されていてかっこいい、自宅にインテリアとして置いていてもうれしく感じるようなクオリティになっていて、売価が2000ドル近くもします。日本円にすると20万円ぐらいですね。

ミレニアル世代に人気

 さらに、月額のオンライン・ジムサービスを提供しています。大型のタブレットがエアロバイクの前面に付いていて、タブレットの向こう側にいるインストラクターを見ながら自転車をこぐんです。全米から同じ時間にユーザーがログインしてきて、数十人集まってインストラクターが音楽を流したり、掛け声を掛けたりして、それに合わせてみんなで自転車をこぐんです。このオンライン・ジムサービスが月額約50ドル(39ドル)。

 どういうユーザーに受け入れられているかというと、おそらく、これまでジムに行っているような人たちです。米国だと月額100ドル以下のジムは少ないと思います。しかもジムに行くまでの移動に時間がかかったり、シャワールームが混んでいたり、運動するという目的をかなえるための前工程と後工程に、いろいろと問題があります。

 これを買っているユーザーたちはミレニアル世代と言われています。自宅にペロトンを置いて、仕事から帰ってきてパッとラフな格好に着替えて、そこで30分、1時間運動して、終わると自宅でシャワーを浴びて、すぐに食事をするなどできる。ジムに移動する30分、1時間を省略できることが「いいね」となり、最近、大変伸びています。

>>続きは1ページ目の動画をご覧ください

田川欣哉(たがわ・きんや)
Takram代表取締役、英ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)客員教授・名誉フェロー
(写真:竹井俊晴)
(写真:竹井俊晴)
デザインエンジニアとしてテクノロジーとデザインに精通。トヨタ自動車「e-Palette Concept」のプレゼンテーション設計、政府の地域経済分析システム「RESAS」のプロトタイピングなどを手掛ける。グッドデザイン金賞、未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエータ認定など。東京大学工学部卒業。英ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)修士課程修了、同校客員教授・名誉フェロー
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