最先端家電をクリエイトするハイアールアジアから登場する予定の『AQUA DIGI』(価格未定・発売日未定)を見てきた。液晶付き冷蔵庫ならまだわかるが、ディスプレイ(インテリジェンスパネル)に冷蔵機能が付いていると言い張るところがへそ曲がり(?)な不思議な家電である。

■冷蔵庫はキッチンにそびえ立つ巨大な広告塔になる⁈
『AQUA DIGI』前面全部が液晶パネル!冷蔵庫の未来はどこへ向かうのか⁈

世の中ではIoT(アイ・オー・ティー)が花盛り。直訳するとInternet of Thingsなので”モノのインターネット化”なのだけれど、いったい何のことやらと外人風に肩をすくめる人も多いだろう。簡単に言うと、最近流行のインターネット接続の出来る家電などを主に指す。シャープも「ともだち家電」という名前でクラウドにつながるオーブンレンジや冷蔵庫を発表しているが、それの仲間と思ってもらって間違いはない。

ただハイアールが狙っているのは、どうやらその先の向こうにあるらしい。クレジット的に価格も発売時期も未定というのはそこが鍵になる。
このインテリジェンスパネル付き冷蔵庫、いや『AQUA DIGI』は、ビジネスモデルごと世間に飛び出していこうとするかなりコンセプチュアルな製品なのである。
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とはいえ冷蔵庫なんでしょう? という人には、一応お手頃価格で高性能と評判の家電シリーズ「AQUA(アクア)」の冷蔵庫「AQR-D28D」が開発のベースになっていると答えよう。定格内容積275Lの2ドアタイプの人気機種である。
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ただその前面ドア部分に32インチ・フルHDの大型液晶インテリジェンスパネル2枚を取り付けるとどうなるか。重くて前に倒れる。当たり前である。
そこを何とかするのが結構メーカーとしては苦労したらしい。もちろんインテリジェンスパネルとはいうものの、立派なAndroidベースのOSが載っているコンピュータでもある。それがWi-Fi機能でインターネット接続ができるということ。
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Androidと言われるとタッチ操作で動くのかと思ってしまうが、それも違う。本体上部中央にカメラがあって、モーションセンサーによって操作する。
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手をグーだったりパーだったりすることによって『AQUA DIGI』を動かすことができるのだ。

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実際にやってみると、デモ機であったため操作性は少々ぎこちないが量産機では今後ブラッシュアップされ円滑に操作できるとのことである。
しばらく放っておくと画面は熱帯魚たちが泳ぐ水槽が映し出されるスクリーンセーバー状態に。

これだけでもちょっと面白い。さらにその扉を開けると冷蔵庫というのもかなりシュール。ただ冷蔵庫にインテリジェンスパネル2枚が搭載されているということでかなりの重量のようで、ちょっと動かすにもかなりパワーがいる。
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ただ見た目が黒ベースでクールなのは間違いない。
持っていたら見せびらかしたくなるに違いない。今の所対応しているアプリも4~5種類程度だが、ソフト的に充実すればかなり色々なことができるのではないかと思う。

■できることは無限大、その可能性が未来をきっと切り開く!
そしてこの『AQUA DIGI』のキモはインターネット接続で情報を表示できるインテリジェンスパネルであるということに尽きる。実は価格未定はそのせい。というのも最近はスマホ・アプリを使用するのに下の辺にバナー広告などがちらついているのはかなり目慣れしたと思うが、それを冷蔵庫でどうか、という提案なのである。
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つまり冷蔵庫に入れるべき食材を購入する人がその真正面にいるわけであり、近所のスーパーマーケットなどがチラシを表示させることができるのではないか、はたまた『AQUA DIGI』を操作してそのまま注文までできるのではないかということなのだ。

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そうなるとこれはもう単なるインターネット端末ではなく、広告媒体となり得る。ということはそうした購入により利益を得る企業などがこの『AQUA DIGI』を無料で配るというビジネスモデルもありなのではないかという提案込みの製品なのだ。冷蔵庫に入れる時に食材を登録しておけば賞味期限が近いことを冷蔵庫が知らせてくれるというような使い方も予測される。ちなみにスピーカーはドア側面にあった。
『AQUA DIGI』前面全部が液晶パネル!冷蔵庫の未来はどこへ向かうのか⁈

ちなみにマイクや接続端子などはドアの左サイドにあった。
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さらにはカメラ付きの冷蔵庫であるがゆえに、遠方に住む肉親の見守りサービスにも連携できるのではないかということも。
確かに警備会社などが取り入れる可能性もなくはないか。

またお互いのキッチンに『AQUA DIGI』があれば、家庭の味を伝授するなんてことも可能になるかもしれない…などなど。話が大きくなってしまったが、これこそが定価未定の要因だ。

さらにドラえもん的近未来な機能に、電子伝言板というのがあった。子供を連れて実家に帰ってしまった妻が『冷蔵機能付きディスプレイ AQUA DIGI-type1(仮称)』に伝言を残せるというもの。「中にカレーが入っているからチンして食べてね」という伝言を、一人帰宅した父親が動画で見られるというようなこと。

何があったんだかものすごくいろいろ想像してしまいそうなシチュエーションで寂しい気持ちを感じてしまったが、便利な機能ではある。あと単純にスマホで撮った写真を映し出す機能もある。まあみんなで見られるのはいいが、そのためにキッチンに集合というのはちょっと不思議。

ただそうした機能をさらに活用するために気軽にリビングに置けるワンドア/ワンディスプレイ仕様のタイプや、いっその事リビングの主役の座に据えてしまおうという4枚の大型モニターを搭載したタイプの開発も進めているというから楽しみだ。

正直今すぐ実用に、という段階ではないがコンセプトモデルとしては非常に未来感を感じさせてくれた『AQUA DIGI』。いろいろな企業が参加して面白い一大冷蔵庫エンターテインメントを見せて欲しいと思った。